新野⼀眞医師(当時 国⽴病院機構埼⽟病院 臨床研究員、現 国⽴成育医療研究センター 専門研修医)らの研究グループは、国立病院機構(NHO)が保有する全国規模の診療情報データベースを用いて、6〜18歳で起立性調節障害(OD)と初めて診断された約7,200人を対象に、併存疾患、薬剤処方、検査、診療内容を解析しました。本研究は、日本の実臨床データから OD の臨床的特徴と医療資源利用を明らかにした初の記述疫学研究です。睡眠薬処方群では神経発達症・不登校・抑うつの併存が多く、患者背景に応じた個別化治療・支援の重要性が示されました。本研究成果は、国際学術誌「BioPsychoSocial Medicine」に2026年6⽉25⽇付けで公開され、9月1日付けで NHO 埼玉病院よりプレスリリースが掲載されました。
本研究の今後の展望について、新野さんは「本研究で⽰した全国規模の基礎データは、OD診療の標準化や、⾝体・睡眠・登校・発達・精神⾯を横断した⽀援体制の検討に役⽴つことが期待されます。今後は、患者背景ごとの経過や治療成績を検証し、より具体的な個別化診療に寄与する研究が重要だと考えます。OD は⼀つの診断名で⼀括りにできる集団ではありません、臨床症状の背景に睡眠や発達特性、登校状況や⼼理的な問題が隠れていることがあります。本研究が実臨床の現場で⼀⼈⼀⼈の背景に⽬を向けたより個別化された診療や⽀援に繋がることを願っています」としています。
新野さんは2021年(当時 京都大学 医学部生)、株式会社フェニクシーのインキュベーションプログラム5期に参加し、自身の事業テーマ「未来を担う小中高生のための、起立性調節障害(OD)支援アプリの開発」に取り組みました。新野さんは現在、国立成育医療研究センターの専門研修医として小児科診療に従事し、起⽴性調節障害や小児摂食障害、思春期の抑うつ症状等の研究を続けています。
論文情報
- 論文名:Clinical characteristics and healthcare utilization of orthostatic dysregulation in Japan: a nationwide descriptive study
- 雑誌名:BioPsychoSocial Medicine
- 著者:Kazuma Shinno*, Hiroyuki Iijima, Kazue Ishitsuka, Norihiko Inoue, Yuki Hashimoto, Akira Nagai, Isamu Kamimaki & Shinichiro Nagamitsu(*Corresponding author|責任著者)
- 公開日:2026/6/25
- DOI/URL:https://doi.org/10.1186/s13030-026-00363-1
関連リンク
- 2026/9/1 国⽴病院機構埼⽟病院プレスリリース「【⼩児科】起⽴性調節障害の診療実態を全国規模で初めて解明:7,213 ⼈の診療情報から、併存疾患・薬剤処⽅・医療資源利⽤と患者層の多様な背景を明らかに」
- 2026/8/18 ICR 臨床研究入門:若手医師のための生成AI活用術(国立成育医療研究センター)《講師:新野 一眞》
- 2026/5/1 小児科診療 89巻5号:特集 ちょっと待って!論文を書く前に知っておきたいことABC|Ⅲ.書く前に少し考えてみよう「大いに気になる,雑誌の格付け」
- 2026/3/29 m3.com <エムスリー>:国立成育のレジデント3人が語る、AI時代の「理想の小児科医」◆Vol.3
- 2026/3/15 m3.com <エムスリー>:いまだにPHSが使われる日本の病院を変えたい、レジデント3人が仕掛けるデジタル変革◆Vol.1
- 2025/9/2 国立成育医療研究センタープレスリリース「身体症状の「数」が思春期の抑うつ症状の早期発見につながる可能性 〜10~15歳の小児の全国大規模調査で判明〜」
- 2022/3/15 フェニクシー5期ショーケース:最終ピッチ「起立性調節障害 支援アプリ:TATERU」【動画】
- 2020/1/10 文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」|留学体験談 (新野一眞)「医学×データ解析で小児神経難病研究に挑む」
# # #
株式会社フェニクシーについて
フェニクシーは、社会課題を解決する事業アイデアと起業人材を育てるため、居住滞在型のインキュベーションプログラムと修了生向けファンドを運営しています。プログラム参加者(スポンサー枠の大企業社員、公募枠の大学研究者、学生、起業家等)は、同社施設「toberu」に4ヶ月居住し、日常的な異業種交流やスタートアップ流スキル研修、個別メンタリング・コーチング等をとおして、利益と社会的インパクトを生む新規事業を開発します。「大企業発ベンチャーの創出」「非日常な時間と空間の共有」をコンセプトに、2018年設立(京都市、共同創業者:橋寺由紀子、久能祐子、小林いずみ)、2019年にプログラム開始。飯島由多加を最高執行責任者(COO)とし、計13期96名(スポンサー枠44名、公募枠52名|うち女性31%、外国人21%)を支援。









